アメリカでもFIRE(Financial Independence, Retire Early)が流行っているようです。
流行りで、どうこうなる様なものじゃないと思いますけど(笑)
アメリカ等で早期リタイヤする事例が載っていますが、彼ら彼女らはリタイヤ資金が尽き掛けたら、仕事を再開できるタイプの人達。
日本の一般的な人は、一度リタイヤをし、数年後に仕事を始めたとしても前職と同程度の収入を得ることは困難です。
つまり、日本でのリタイヤは不可逆的で一方通行なのです。
で、この記事で日本での話には違和感がイッパイ。
例えば夫婦2人子供2人の4人世帯で一定の生活水準を維持しながらアーリーリタイアするにはどれくらい貯金が必要なのか。フィナンシャル・ウィズダム代表でファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は「極めて単純に計算しても、50歳の時点で1億円の貯蓄が最低限必要」と説く。
いや、50歳で夫婦2人子供2人で1億は絶対に足りないでしょう。
子供たちの年齢は、親が50歳なら恐らく上が18歳で下が15歳前後と言ったところでしょうか。そこからが教育費に最もお金がかかる時期です。子供が独立するまでは仕事を続けるべきですよ。
で、この試算の内訳はと云うと…
毎月の生活費を月40万円でやりくりしても年480万円。年金支給年齢の65歳までの15年で7200万円必要となる。65歳以降は年金支給が夫婦で月21万円程度。生活レベルを引き下げても月10万円の追加支出は避けられず、90歳までの25年間でも3000万円が必要となる。合計1億円超がベースラインになるというのが山崎氏の試算だ。
『毎月の生活費を月40万円でやりくり』
いや、無理でしょうww
1億の中に住居費が入っていないなら兎も角、家賃(若しくは住宅ローン)に子供の学費を考えれば無理です。(地方で住宅費用が安く上がるなら話は別だが、その場合は自動車が必要でそのコストで相殺されてしまいます)
しかもリタイヤすれば、勤め人時代は天引きであまり意識することがなかった、国民年金の1号被保険者に国民健康保険が2人分が必要となります。
となると4人家族でこの額はかなり厳しい。
本当に貯蓄を切り崩すだけで生活するなら、国年と健保の支払は免除、当然住民税も免除が可能でしょう。そこまで倹約したとしても子供の学校は公立、大学は奨学金ってのが大前提。勿論実家から通えないとダメです。仕送りなんかしようものなら家族皆共倒れです。
つまり、金銭的余裕がないと子供の進路選択肢を極端に狭めるから大学卒業まではリタイヤするべきではありません。(1億程度では足りない)
工夫すればできるかもしれませんが、そういう早期リタイヤは"惨め"ではないかな。
『65歳以降は年金支給が夫婦で月21万円程度』
これもなり甘い見通し。ボクはこの5~7割程度が良いところだと考えます。
現在でも夫婦2人国年40年全額納付して13万/月。これに2階部分の厚生年金が加わって21万円は現在ではというお話。
リタイヤ後に国民年金を免除申請すれば受給額は更に下がります。恐らく夫婦2人が50歳から免除申請すれば65歳から10万円/月程度でしょう。そして人口統計から考えてこの水準が40年後の90歳になるまで続くはずがない。勿論2階建て部分もです。
1億の殆どを運用に回して、その配当で暮らすならいけるかもしれません。
税引後4%で年400万円と家族4人でやはり余裕はないと思いますがそれでもただただ食い潰すよりマシだと思います。(国年&健保が掛かるので月5万は出ていく)
単身且つ倹約体質で、そこそこの大企業勤務&公務員であれば50になる前に1億は貯められると思います。最近は削られつつある福利厚生も未だしっかりしているので、出ていく金は「福利厚生ってナニ?」という中小企業勤務の人達よりも少なく済みますし。
それは兎も角、退職後に退職金+αで自分用の家を買えばよろしい。
20代から貯金の半分を適切な運用で回していれば、40代前半でも1億は達成できるでしょう。ボクは30歳から働き始めたので、恐らく50歳時に1億は多分無理ですけど…
そう言う訳で、夫婦かつ学齢期の子供がいるなら、50歳時点で2億近くを持ってないと会社員時代と同程度の生活レベルを保った完全リタイヤは危険だと思います。
リンクの記事でも『極めて単純に計算しても、50歳の時点で1億円の貯蓄が最低限必要』と言ってますので、筆者も1億では…と思っているのは確実ですよね。